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2014.4.20■第5回関西トランペット協会新人演奏会
第5回関西トランペット協会新人演奏会報告
 清々しく晴れ渡った2014年4月20日、午後2時から京都市立京都堀川音楽高校ホールにて第5回関西トランペット協会新人演奏会が開催された。司会は恒例となった、NHK交響楽団首席トランペット奏者の菊本和昭氏。時折ジョークも交えて軽妙なタッチで出演者にインタビューしていた。

 最初の演奏は真っ赤なドレスで登場した河野真衣さん。ピアノ奏者の小西優子さんが黒のドレスで見事なコントラストを醸し出していた。河野さんは、近畿大学を卒業後大阪芸術大学大学院に入学した異色の経歴の持ち主。たえず静かな笑みを湛え、堂々としたステージ態度が印象的だった。演奏曲はハイドンの協奏曲。第1楽章は軽快なテンポの中でゆったりしたフレージング、第2楽章は豊かなカンタービレ、第3楽章はテクニカルな箇所も含めて丁寧な演奏を聴かせた。出だしこそやや緊張気味で音程に影響が出ていたが、音色とタンギングがとても美しく、豊かで表現力ある演奏だった。

 ESA音楽院卒業の北山健太郎さんはステージ中央で満面の笑顔で挨拶、いいね!曲はアルチュニアンの協奏曲。序奏はゆったりとした美しい音色で始まった。続く第1テーマでは少々走り気味になる部分もあったが、強い曲調のメロディも音色を大事にしながら演奏しているのがよかった。中間のミュートを付けた Lentoの歌い回しとヴィブラートが美しい。インタビューではコンクールへの挑戦に意欲を見せていた。今後が楽しみである。

 相愛大学卒業の堀口奈緒美さんは赤いドレスで登場。ピアノの中谷友香さんは黒いドレスでやはり見事なコントラスト。曲はトゥリンの4つの小品。第1楽章は透明感あるトランペットの独奏で始まった。少々音程に難があったが次第に落ち着きを取り戻し、第2楽章は細かなフレーズを確実に演奏した。第3楽章のフリューゲルホルンの音色はとても美しく、第4楽章のタランテラは軽快且つリズミカルで、メリハリが効いてて最後もパワフルに吹ききった。彼女はなんと、高校で国語の非常勤講師をしている。音楽活動も頑張って続けてもらいたい。

 大阪音楽大学短期大学部卒業の太田梨央さんはシックな紺のドレスで登場。曲目はヒンデミットのソナタ。吹き通すのに耐久力が必要な第1楽章、12/8拍子の2小節目に楽譜を見間違って演奏している音があり気になったが、オーバーブロウにならぬようコントロールしながら最後はとてもパワフルに吹ききった。第2楽章は心もち速めのテンポで軽いタッチ。第3楽章は強弱のメリハリがあった。最後の三拍子は耐久力的に厳しい唇に美しいPと力強いFが要求される所だが、安定感があった。演奏が終わってにっこり微笑んだのが魅力的だった。写真が趣味でバンド活動もしているとの事、多彩な人である。

 大阪音楽大学度卒業の加島綾佳さんは輝かしい薄紫の大人っぽいドレス。曲は難曲とされるジョリベの小協奏曲。最初からパワフルで、カデンツァのハイDesもハイCもお見事。ゲネプロでもランスルーして、さらに返していたが、強靱な耐久力の持ち主のようだ。中間部のカンタービレがもっと欲しかった。最後のアチェレランドは聴く者を圧倒するパフォーマンスだった。

 最後に登場したのは京都市立芸術大学卒業の伊藤駿さん。曲はスティーブンスのソナタ。変拍子の多いリスキーな第1楽章を確実に躍動感溢れる演奏。輝かしいハイノートが印象的。第2楽章は長いフレーズ感で強弱も見事。ロングトーンが多いが安定していた。一転して速く、跳躍の多い第3楽章も少々ミスがあったものの、張りのある音で見事だった。現在は富山の桐朋オーケストラアカデミーに在籍している。

 お手伝いの肥後徹志君、常盤井大志君は朝早くからご苦労様。
 今回は全体的に大変優秀な演奏であった。年々演奏レベルが向上している事は主催者としてこの上なくうれしい限りである。また来年に期待したい。
 終了後の懇親会も50人程が参加し、盛会だった。 KTPAでは、プロアマ一緒になって気さくに話をできる場を作っているので、是非気軽な気持ちで参加していただきたい。
関西トランペット協会事務局長 早坂宏明